2019年03月15日
社会福祉
母子家庭を全力で保護せよ(制度の案内)
日本国憲法第25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と宣言し、その第2項では、江戸川区役所や「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めている。母子家庭の母親は日本国民として生き、その次代を担う子供たちの養育のために日々努力している。では、江戸川区はどうか?
「母子家庭(母子世帯)」とは
離婚などの理由により、母親だけで子供を育てている家庭を言う。「父子家庭」は、父親だけで子供を育てている家庭のことである。
「シングルマザー」は、「母子家庭の母親」であって、「ひとり親家庭(ひとり親世帯)」とは、母子家庭と父子家庭の両方を指す。
ところでこの母子家庭の数は、1988年には84.9万世帯だったのに対し、2011年には123.8万世帯と25年間で約1.5倍も増えている。これが現実だ。
母子家庭になった理由の大半は「離婚」
ではなぜ母子家庭になったのかの理由は「離婚」が79.5%と大半を占め、「未婚」が8.7%、「死別」が8.0%と続く。母子家庭の子供の人数は1人の家庭が59.8%と最も多く、平均すると1.50人だ。離婚後、1~2人の子供を育てているシングルマザーが多い。
シングルマザーの年収は、平均200万円
一家の大黒柱であるシングルマザーの就業率は高く、全体の81.8%が仕事に就いている。その年収は、平均で200万円である。子育て世帯全体の年収の平均646.9万円と比べると、シングルマザーのこの年収は、その31%に過ぎない。
シングルマザーの年収を雇用形態別にみてみると、正社員では305万円、非正規のパート・アルバイトでは133万円であって、非正規の雇用で働くシングルマザーの年収は正社員として働く場合の半分以下である。
このように非正規の従業員として働く場合、親の助けなしに生活していくことは難しく、子供の学費を積み立てていくこともできない。実際、母子家庭の51.4%が「貯金額50万円以下」と答えている。
正社員への道は険しく
シングルマザーが正社員として働きにくい理由は、次のとおりである。
●子供の養育のために平日の日中の仕事に限られる
●長時間の残業には子供の世話があって対応できない
●子供が急に病気になったとき、遅刻・早退・欠勤する可能性がある
●保育園や学校の行事への参加、PTA活動などのため、遅刻・早退・欠勤する可能性がある。
養育費の支払いを受けているのは、母子家庭の全体の4分の1
養育費・慰謝料ともに支払いをほとんどの母子家庭は受けていない。元夫から養育費の支払いを受けているのは、母子家庭の全体の4分の1である24.3%に過ぎない。過去に一度も支払いを受けたことのない家庭は56%にも上る。
平成9年度の厚生労働省の報告によると、慰謝料を受け取っているシングルマザーは全体の10%未満であった。多くの母子家庭は、養育費・慰謝料の支払いを受けることなく生活している。
母子家庭に対する支援制度
このような母子家庭の悲惨な現実に対する国や地方公共団体による支援制度は次のとおりである。
●児童手当
これは母子家庭に限らず、全ての子育て中の家庭が利用できる制度であり、子供の年齢や人数によって異なる。
●児童扶養手当
これはひとり親家庭を対象とする制度であって、所得が規定の金額以内であることが受給の条件である。支給金額は、所得や子供の人数によって異なる。
(子供が1人の場合)全額支給:月額42,500円
(子供が2人の場合)1人目の子供の手当+月額10,040~5,020円
(子供が3人以上の場合)1・2人目の子供の手当+3人目の子供から1人増えるごとに月額6,020~3,010円
児童扶養手当を受け取れるのは、子供が18歳になった後、初めて迎える3月31日まで。
●ひとり親家庭等医療費助成制度
ひとり親家庭を対象とする制度で、助成金額は、役所によって異なる。
●国民年金、国民健康保険税の減免
●就学援助制度
●公営住宅への優先的入居
実家に住めない事情があったりするなどの、母子家庭にとって、公営住宅に入居できれば、とても助かる。事実、公営住宅に住んでいる母子家庭は、全体の13.1%にもなっている。
●母子父子寡婦福祉資金貸付制度
母子の就学や病気の治療、引っ越しなどを理由とする場合に、東京都や江戸川区の社会福祉協議会からお金を借りられる。
●生活保護
これは経済的に困窮する人に対して、最低限の生活ができるように生活費の給付を行う制度である。
(生活保護を受けるには)まず、お金に変えられるものは全てお金に変え、生活費に充てる必要がある。例えば、解約したら返戻金があるような貯蓄型の生命保険などは全て解約、車を持っている場合は売却せねばならない。さらに、「親族にできる限りの援助を依頼すること」「あらゆる制度(児童扶養手当、雇用保険など)を利用すること」「能力に応じて就労すること」が受給の条件である。
このように、生活保護は、気軽に利用できる制度ではない。ただ、母子家庭のうち11.2%は、生活保護を受けている現実があり、生活保護は子供と生きていくための最後の手段である。
母と子の命と幸せを守るために
日本国憲法第25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と宣言し、その第2項では、江戸川区役所や「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めている。
しかし役所の窓口では高飛車に制度を案内し、少しでも条件に合わなければ役所から追い出す。その母と子の命と幸せを守るために役所として何ができるかを真剣に考え、できるだけ母と子の命と幸せのために制度の向上と増進に対する義務を江戸川区の職員は有していることを断じて忘れてはならない。何としても母と子の命と幸せのためにわれわれは総力を上げて努力しなければならない。