政治活動

2019年03月15日

社会福祉

母子家庭を全力で保護せよ(制度の案内)

 日本国憲法第25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と宣言し、その第2項では、江戸川区役所や「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めている。母子家庭の母親は日本国民として生き、その次代を担う子供たちの養育のために日々努力している。では、江戸川区はどうか?

「母子家庭(母子世帯)」とは

 離婚などの理由により、母親だけで子供を育てている家庭を言う。「父子家庭」は、父親だけで子供を育てている家庭のことである。

 「シングルマザー」は、「母子家庭の母親」であって、「ひとり親家庭(ひとり親世帯)」とは、母子家庭と父子家庭の両方を指す。

 ところでこの母子家庭の数は、1988年には84.9万世帯だったのに対し、2011年には123.8万世帯と25年間で約1.5倍も増えている。これが現実だ。

母子家庭になった理由の大半は「離婚」

 ではなぜ母子家庭になったのかの理由は「離婚」が79.5%と大半を占め、「未婚」が8.7%、「死別」が8.0%と続く。母子家庭の子供の人数は1人の家庭が59.8%と最も多く、平均すると1.50人だ。離婚後、1~2人の子供を育てているシングルマザーが多い。

シングルマザーの年収は、平均200万円

 一家の大黒柱であるシングルマザーの就業率は高く、全体の81.8%が仕事に就いている。その年収は、平均で200万円である。子育て世帯全体の年収の平均646.9万円と比べると、シングルマザーのこの年収は、その31%に過ぎない。

 シングルマザーの年収を雇用形態別にみてみると、正社員では305万円、非正規のパート・アルバイトでは133万円であって、非正規の雇用で働くシングルマザーの年収は正社員として働く場合の半分以下である。

 このように非正規の従業員として働く場合、親の助けなしに生活していくことは難しく、子供の学費を積み立てていくこともできない。実際、母子家庭の51.4%が「貯金額50万円以下」と答えている。

正社員への道は険しく

 シングルマザーが正社員として働きにくい理由は、次のとおりである。

 ●子供の養育のために平日の日中の仕事に限られる

 ●長時間の残業には子供の世話があって対応できない

 ●子供が急に病気になったとき、遅刻・早退・欠勤する可能性がある

 ●保育園や学校の行事への参加、PTA活動などのため、遅刻・早退・欠勤する可能性がある。

養育費の支払いを受けているのは、母子家庭の全体の4分の1

 養育費・慰謝料ともに支払いをほとんどの母子家庭は受けていない。元夫から養育費の支払いを受けているのは、母子家庭の全体の4分の1である24.3%に過ぎない。過去に一度も支払いを受けたことのない家庭は56%にも上る。

 平成9年度の厚生労働省の報告によると、慰謝料を受け取っているシングルマザーは全体の10%未満であった。多くの母子家庭は、養育費・慰謝料の支払いを受けることなく生活している。

母子家庭に対する支援制度

このような母子家庭の悲惨な現実に対する国や地方公共団体による支援制度は次のとおりである。

●児童手当

 これは母子家庭に限らず、全ての子育て中の家庭が利用できる制度であり、子供の年齢や人数によって異なる。

●児童扶養手当

 これはひとり親家庭を対象とする制度であって、所得が規定の金額以内であることが受給の条件である。支給金額は、所得や子供の人数によって異なる。

(子供が1人の場合)全額支給:月額42,500円

(子供が2人の場合)1人目の子供の手当+月額10,040~5,020円

(子供が3人以上の場合)1・2人目の子供の手当+3人目の子供から1人増えるごとに月額6,020~3,010円

 児童扶養手当を受け取れるのは、子供が18歳になった後、初めて迎える3月31日まで。

●ひとり親家庭等医療費助成制度

 ひとり親家庭を対象とする制度で、助成金額は、役所によって異なる。

●国民年金、国民健康保険税の減免

●就学援助制度

●公営住宅への優先的入居

 実家に住めない事情があったりするなどの、母子家庭にとって、公営住宅に入居できれば、とても助かる。事実、公営住宅に住んでいる母子家庭は、全体の13.1%にもなっている。

●母子父子寡婦福祉資金貸付制度

 母子の就学や病気の治療、引っ越しなどを理由とする場合に、東京都や江戸川区の社会福祉協議会からお金を借りられる。

●生活保護

 これは経済的に困窮する人に対して、最低限の生活ができるように生活費の給付を行う制度である。

(生活保護を受けるには)まず、お金に変えられるものは全てお金に変え、生活費に充てる必要がある。例えば、解約したら返戻金があるような貯蓄型の生命保険などは全て解約、車を持っている場合は売却せねばならない。さらに、「親族にできる限りの援助を依頼すること」「あらゆる制度(児童扶養手当、雇用保険など)を利用すること」「能力に応じて就労すること」が受給の条件である。

 このように、生活保護は、気軽に利用できる制度ではない。ただ、母子家庭のうち11.2%は、生活保護を受けている現実があり、生活保護は子供と生きていくための最後の手段である。

母と子の命と幸せを守るために

 日本国憲法第25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と宣言し、その第2項では、江戸川区役所や「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めている。

 しかし役所の窓口では高飛車に制度を案内し、少しでも条件に合わなければ役所から追い出す。その母と子の命と幸せを守るために役所として何ができるかを真剣に考え、できるだけ母と子の命と幸せのために制度の向上と増進に対する義務を江戸川区の職員は有していることを断じて忘れてはならない。何としても母と子の命と幸せのためにわれわれは総力を上げて努力しなければならない。

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2019年03月12日

住民自治問題

区に請願権を確立せよ

 日本国憲法16条において、「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」と定めて請願権を国民、江戸川区民に保障されている。

区への請願

 江戸川区に対して言いたいこと、してもらいこと、してほしくないこと、作ってほしいこと、通してほしいこと……何でも区に言うことができるし、言ったことで断じて不利益を受けない。江戸川区で住民自治が確立しているか否かは、この請願権が江戸川区に実現しているかである。住民自治が口先だけのものであるかは、この請願権が保障されているか否かでわかる。

江戸川区の陳情と請願

 江戸川区では、「陳情」と「請願」の2つがある。それは議員の紹介があるものを「請願」と言い、議員の紹介のないものを「陳情」との2つに分けられている。この「陳情」は、次の基準に該当すると判断されたたものは、関係委員会へ審査の付託をせずに参考送付とされる。つまり、この陳情は次に該当する場合は、区への請願ではない単なる参考資料として扱われると言うことだ。

〔委員会付託除外基準〕

 ① 郵送されてきたもので直接区政に関係のないもの

 ② 裁判で係争中のもの

 ③ 違法又は明らかに公序良俗に反するもの

 ④ 誹謗・中傷し、その名誉毀損、信用失墜を引きおこす恐れがあるもの

 ⑤ プライバシーを侵害する恐れがあるもの

 ⑥ 議員及び職員の身分に関するもの

 ⑦ その他議会の審査になじまないもの

請願への制限は憲法違反

このような制限を請願に設けることは、区の恣意的判断で請願権を葬り去ることができるのであって、江戸川区のこの基準は憲法違反と言っていい。何が「公序良俗に反する」であるか、何が「信用失墜のおそれ」があるか、何が「議会の審査になじまないもの」かについて具体的に定められてはいない。区の勝手な判断と思い込みだけで憲法16条で定める請願権を葬り去ることができる。恐るべきだ。

基準を改正させなければならない

 憲法を擁護する立場から、この〔委員会付託除外基準〕を次のように直ちに改正していかなければならない。

 ① 請願・陳情は形式を問わないのであって、「郵送」も受け付けなければならない。

 ② 何が「公序良俗」を具体的に明らかにしなければならない。

 ③ 何が「名誉毀損、信用失墜」に当たるのかを具体的に明らかにしなければならない。

 ④ 何が「プライバシーを侵害する恐れがある」かを具体的に明らかにしなければならない。

 ⑤ 何が「議会の審査になじまないもの」であるのか具体的に明らかにしなければならない。

請願一本にする

 江戸川区が陳情と請願の区別を単に議員の紹介があるか否かの愚かな判断で分け、そして陳情を単なる資料として葬り去ることは憲法16条違反である。最も重大な事実は曖昧かつ抽象的な基準で陳情を選別し、これに該当すると勝手に思い込んで「関係委員会へ審査の付託をせずに参考送付」とすることは憲法違反だ。戦前の軍国主義ファッショへの回帰だ。こんな陳情の規定は廃止して請願一本にし、区民は一切の制限を受けることなく区に請願ができる新たなシステムを確立すべきだ。こうして江戸川区に本当の住民自治が確立されていく。

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2019年03月11日

災害対策問題

区本庁舎を災害対策の要塞に

 江戸川区ではありきたりな「災害対策」をとるとしているが、どこまで区民は安心して災害に対応することができるか。結論はノーである。こんなことで区民の生命と財産を守ることなど到底できない。

福島原発事故を教訓

 福島原発の最大の問題は外部電源を喪失したことである。そしてさらに襲来した想定を大幅に上回る津波により非常用ディーゼル発電機、配電盤、蓄電池などの重要な設備が浸水被害を受け、原子炉を冷却する機能が喪失した。その結果、炉心溶融とそれに続く水素爆発による原子炉建屋の破損につながって取り返しのつかない被害を与えた。この教訓を江戸川区の災害対策に活かさなければならないが、江戸川区はこれに口をつぐんで何も施策を執ろうとしない。江戸川区の住民の生命と財産に責任が江戸川区にありながら、その責任を果たそうとはしない。

非常用電源を5階以上に設置

 江戸川区も福島原発のように外部電源を喪失した上に、非常用ディーゼル発電機も水に浸かって使用不能になることを想定しておかなければならない。幸いにも江戸川区は本庁舎の建替えが正式な議論に付されたこともあり、この建替えをチャンスに電源確保の対策を講じておかなければならない。福島原発を教訓に江戸川区の電源を外部電源喪失のなかで確保するために、新たに建設される本庁舎の5階以上のフロアーに非常用ディーゼル発電機を設置する。津波が押し寄せることを想定して地上より20m以上高い上階に設置して水から守る。先ず電源の確保である。

区職員は6階以上にいて命を守って業務を遂行する

 そして水没しない6階以上のフロアーには職員が占有するとともに、この階以上のフロアーに住民のデータをコンピューターに入力・スキャンして保管する。そして区の職員は全員救助隊員になって区民の生命と財産を守ることを使命にする。

江戸川競艇場から災難救助艇の派遣

 東小松川にある江戸川競艇場から災難救助艇を江戸川区全域に派遣して区民の災難救助に当たり、避難先の船堀に建設される本庁舎と関連施設に区民を収容して生命を守る。このため江戸川区と江戸川競艇場とは、区民の災難救助に関する協定を締結しておくこととする。

 ところで江戸川競艇の主催者には、東京都六市競艇事業組合(構成自治体:八王子市、武蔵野市、昭島市、調布市、町田市、小金井市)と東京都三市収益事業組合(構成自治体:多摩市、稲城市、あきる野市)で、いずれも施設がある江戸川区はこれに参加していない。この災難救助の協定を契機に江戸川競艇定の主催者になる話し合いを早急に行うべきである。これは区民の生命と財産を守る大義がある。

主な地域に家庭用電池と食糧を提供

 江戸川区の主な地域に大容量の自家発電機を建設して外部電源を失った場合に備え、各家庭には自家発電機で充電した家庭用電池を届けて電気のある暮らしを守る。そして船堀の本庁舎に備蓄した食糧を提供する。これらは江戸川競艇場の災難救助艇による配達である。水に対しては水で応える。

モノレールによる輸送体制を確保

 提案した船堀街道の上に設置するモノレールは高さが6m以上のレールを走ることから津波の水害にも強くて走り続け、人の輸送と食糧の輸送を確保する。江戸川区の最大津波高2.07mと設定されている。モノレールは東日本大震災と同程度の地震と津波に備える計画であり、江戸川区の都市機能は守られて微動だにしない。本庁舎に設置される発電機とともに蓄電池を使って電源を確保して、外部電源を当てにしない。

区役所本庁舎を要塞に

 新たに建て替えられる江戸川区本庁舎は都市機能が凝縮されており、自ら水、電気等確保するとともに広大な食糧備蓄倉庫から食料と家庭への蓄電池を配給する。このようにして災害が起きて1カ月は自力で都市機能を確保し、区民への情報を提供し続ける。水は本庁舎地下に掘った井戸水で水を確保し、蓄電池も江戸川区の世帯に行き渡るように届ける。このように本庁舎は敵から兵糧攻めにあっても1カ月は自力で持ちこたえられる強大な要塞にすることだ。

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2019年03月08日

学校適正配置問題

学校施設を戦略的に活かせ

 江戸川区の年少人口は減少続けており、平成22年の98,137人から平成42年の78,700人へと20年間で20%減少すると将来人口を見込んでいる。この結果、江戸川区では「学校の統廃合」を検討に入ったと宣言した。しかし対症療法的に学校を統廃合するのではなく、活かすものは活かして長期的な戦略的判断が求められる。

江戸川区の学校適正配置基準

 江戸川区では、次のような配置基準を設けている。

 ① 12~18学級を標準規模とする。

 ② 19~24学級を許容範囲とする。

 ③ 通学距離は概ね1.2㎞以内を目安とする。

 ④ 適正配置の考え方としては、将来人口が推計される今後20年間において、学校の規模や配置を適正化する。即ち統廃合する考えである。

ブロックの設定

 江戸川区では、全体で9ブロックを設定して小中学校を統廃合しようとしている。

【中央・北ブロック】

 このブロックでは、江戸川区全体の年少人口の減少と同じ傾向を示している。

 ここで統廃合の検討対象として、鹿本小、第二松江小がやり玉に上がっている。

【中央・南ブロック】

 ここでは統廃合の検討の対象に挙げられた学校はない。

【小松川ブロック】

 ① ここでは次の6校が統廃合の対象としている。(小松川小、平井第二小、平井小、平井西小、平井東小、平井南小)

 ② 平井第二小は平井南小との統廃合の協議に入っている。

 ③ 平井東小は、単学級の学年が生じて検討対象となった。

 ※「単学級」とは1学年に1クラスしかないことである。

【葛西・北ブロック】

 ① 二之江第三小は、単学級の学年が生じて統廃合の検討が協議されている。

 ② 二之江小と二之江第三小は近接して統廃合の議論が始められている。

【葛西・東ブロック】

 ① 南葛西小と南葛西西第三小は統廃合の検討が行なわれている。

 ② 南葛西中と南葛西西第二中とは統廃合の検討がなされている。

【葛西・西ブロック】

 ① 清新第二小と清新第三とは統廃合する。

 ② 清新第二中は、標準規模を下回って統廃合の検討がなされている。

【小岩ブロック】

 ① 児童数の減少が続いて全学年が単学級となった上一色小は、統廃合の対象。

 ② 4校(上小岩小、上小岩第二小、中小岩小、北小岩小)で統廃合の検討対象になる。

 ③ 下小岩第二小は、単学級の学年が生じて統廃合の検討対象になる。

 ④ 南小岩小と南小岩第二小を統廃合する検討に入る。

 ⑤ 南側3校(小岩第一中、小岩第二中、小岩第五中)で統廃合する。

【東部ブロック】

 ① 南側6校(瑞江小、下鎌田小、下鎌田東小、江戸川小、鎌田小)で統廃合する。

 ② 江戸川小は単学級の学年が生じる可能性がある。

 ③ 瑞江第二中は、標準規模を下回っている。

【鹿骨ブロック】

 ① 近接している鹿骨小と松本小は単学級が生ずる見込みであり、統廃合の検討対象である。

機械的なブロック分けは間違い

 このように江戸川区はブロック分けして標準規模であるかを機械的に分類し、これを下回わる学校を他校と統合して廃校しようとしている。しかしこうした外形的で機械的な配置基準のみで学校の運命を決めていいものか、大きな疑問が残る。

子供たちの思い出を消す廃校

 理由はともかく学校を廃校することは、そこで学んだ子供たちの思い出を消し去ることを意味する。友達同士で勉強したこと、グランドで一緒に遊んだこと、異性とのほろ苦い思い出、先生に叱られたこと……両手で持ち切れない学校の思い出があり、その思い出の数々が将来の人生設計に役立つ。少なくとも学校を廃校するとは子供たちにとってかけがえのない思い出を消し去ることを意味し、子供たちにとっては人生の大きな挫折感をもたらす。

少子化を防ぐ手立てを打つ政府・江戸川区の責任

 通学する子供たちが減少したから廃校するとの考えは短絡すぎており、少なくとも少子化の問題は子供たちの責任ではない。少子化に対して行政の責任を果たさなかった政府と江戸川区の責任であり、そのツケを子供たちに払わせることは筋違いだ。今からでも遅くない、少子化を防ぐ手立てを大胆に打つべきだ。

教育のセンターとしての学校

 全国で廃校となった学校施設では養殖場にしたり、企業に貸与したり、民宿にしたりと多様な用途に供されているがこれは間違いだ。学校であって教育から離れた使用は、教育を否定する本末転倒の考えだ。いくら儲かると言って何でもやって言い訳がない。こうした学校施設を目的外使用に認めることは教育の根本を失うことである。教育を受けられなかった中年・高齢者への夜間中学にしたり、大学の教授を招いてする地域住民に対する歴史のセミナー……等々と地域の教育のセンターにすべきだ。よって廃校の考えを否定する。

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2019年03月05日

少子化問題

江戸川区の少子化問題

 江戸川区の人口推移なかで出生人口は、平成12年段階で7,020人だったのが平成24年には6,069人と951人減少している。年少人口も平成21年には98,291人だったものが、平成26年段階では93,685人と4,606人減少した。少子高齢化は、よそ事ではなく江戸川区自身の問題になった。

少子化がもたらす問題

 少子化は労働力の減少をもたらして生産力と日本の国力を低下させてしまい、そして子供の世界をも歪にさせて人格形成に悪影響を与える。このまま少子化が進行すれば、子供のコミュニティは失われて地上から子供の世界は消滅することだろう。子供たちから夢と希望が消えて暗黒の世界が子供たちを覆い尽くすことだろう。

無職の若者

 江戸川区の15歳~19歳までの若者で無職の人口が平成11年から一貫して9万人前後で推移しており、ことに平成14年には12万人を突破している。こうして若者の貧困が引き起こされ、結婚して子供を儲ける経済的資力と意欲を奪っている。訓練手当を受けて職業訓練学校に通って技術を身に付け、子供手当と保育園対策に万全の対策を講じて若者から無職を無くして定職につけなければならない。

子供の貧困を無くす

 子供の貧困率が平成3年は13%であったものが平成24年には16%を超え、明らかに子供の貧困率は上昇傾向を示している。子供たちは貧しいのであり、テレビでどんなにバラ色の世界を描こうとも貧困はなくらないどころか益々貧困になっている。子供の貧困率が上昇傾向を示している現実を前に若い女性たちは、子供を産む意欲すら失っているのである。どんなに掛け声が大きかろうが、これに応える経済力を若い親たちは奪われている。子供の貧困を無くさない限り少子化は避けられない。

江戸川区の空しい叫び

 こうした現実に空しい江戸川区の叫びが聞こえてくる。「子どもたちの就労への意欲を育てていく。」「自信を回復」する「学習をはじめとする支援体制」「意欲を応援する」と……精神論を言うのが精一杯だ。いくら精神論を述べても子供の腹は一杯にならない。空しい叫びである。

奨学金の支給、職業訓練手当の制度化、就職支度金の制度化等々

 そうではなくて子供たちに対して奨学金の支給(貸与ではない。)、職業訓練手当の制度化、就職支度金の制度化等々の施策を行ない、子供たちに対するセイフティネットを張り巡らすことだ。これこそが少子化対策であり、子供を殖やすことだ。観念論や修養論は戦前の軍国主義の考え方であり、現在の憲法を確立した今ではこうした考え方は否定されている。江戸川区はいつから軍国主義になったのか。先ず具体的な基盤整備から対策から始めることだ。

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2019年03月05日

高齢者問題

孤立化する高齢者

 江戸川区の75才以上のひとり世帯(単身世帯)は、2030年には2万2千人(世帯)に迫ると見込まれている。これは2010年に比べて2倍近い1.9倍である。そして65才以上の高齢者の孤独死は、2013年では2009年から5年間で1.5倍の205人にも上っている。明らかに江戸川区の高齢者は孤立化する。

江戸川区には高齢者問題を論ずる資格ナシ

 このような孤独死が増加している現実を前に江戸川区は、「『自助』を基本と」することとしている。高齢者の孤立化が進んでひとり世帯(単身世帯)がふえているのにも拘わらず、「自助」を求めるという無神経さには驚く。ひとりとなって孤独死がふえている高齢者に何をしろと言うのか。もう官(江戸川区)からの最後の支援を声なく求めているのだ。こうした姿勢の江戸川区には高齢者問題を論ずる資格はない。

本末転倒な「出会い・ふれあい・助け合い」の呼びかけ

 「自助」を前提として江戸川区は、自らの行政としての責務を放棄して高齢者に対し「町会・自治会・地域イベントなどに、より多くの熟年者が参加すること」を求めている。愚かと言うほかない。そもそもこれらに参加出来ずに孤立化が進んでいるのであって、孤立化している原因も理由も分からず本末転倒な呼びかけをしているのである。

高齢者生活相談員を任命して高齢者宅を訪問

 江戸川区の高齢者問題を深く理解して高齢者対策を真剣に考えている者を「高齢者生活相談員」に任命して区内の高齢者の全戸に直ちに派遣して訪問させ、高齢者の見守りとともに健康状況の把握に務める。この相談員は、訪問して高齢者が困っている問題を把握して、この解決策を江戸川区に意見具申する。こうして高齢者の孤立化を防いで孤独死と言う最悪の事態を回避する。

頼れる高齢者生活相談員

 江戸川区の基礎調査によると熟年者全体の6.5人に1人は、身近に頼れる人がいないと答えている。特に単身の場合は4.4人に1人が身近に頼れる者がいない。また、介護を受けている熟年者の6.5人に1人は、助けてくれる人がいないと江戸川区基礎調査で答えている。従って頼れる江戸川区の職員の登場が望まれるのであり、それが「高齢者生活相談員」なのだ。

老々介護をなくす

 江戸川区の基礎調査によれば、主な介護者の年齢が〈2009年度〉では60.7歳のところ、〈2013年度〉では64.0歳とハネ上がっている。明らかに〈老々介護〉が進行している。これを打破するためにも「高齢者生活相談員」を設置しなければならない。これは急いで制度化しなければならず、高齢者にはもう時間がない。

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2019年03月04日

天皇問題

国民統合の役目を果たす

 天皇陛下は間もなく退位される。この平成時代の30年の間、東日本大震災をはじめとする自然災害があって多くの悲劇が生みつつも、天皇陛下が述べられた「戦争のない時代として終わろうとすることに安堵している」とのお言葉のとおりであった。天皇陛下は、日本国憲法第1条に定める「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」の役目を立派に果たされた。

東京都桧原村での出来事の想い出

 平成8年(1996年)5月19日天皇皇后両陛下と皇太子殿下をお招きした全国植樹祭が東京都桧原村で行われたが、その日は朝から雨が強く降り続いて取り止めも予想された。しかし天皇陛下が会場に近づくに連れて雨は急速に上って雲が切れ、その直後から太陽が神々しく照り始めた。植樹祭はつつがなく予定通り執り行われた。ふと手を合わせて目を瞑った己に驚いたことを鮮明に覚えている。これが天皇陛下をお迎えした植樹祭での想い出だった。

「国民統合の象徴」の役目

 天皇陛下は東に津波があれば海よおさまれと祈り、西に地震が襲えば国民に寄り添って常に国民とともにあった。北ではアイヌの人達とともに、そして南では沖縄の人達とともにあることを述べられて国民統合の象徴としてあった。天皇在位30年は日本国憲法が定める日本と日本国民の統合の象徴としての役目を十二分に果たされた歴史であった。天皇陛下に心から慰労の念を表させていただく。

天皇を守ることは憲法を守ること

 こうした天皇を守ることは、第1条で天皇を「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と定める日本国憲法を守ることである。天皇を守ることは憲法を守ることだ。象徴天皇を否定して憲法を改正しようとするものは、天皇を右翼のために政治利用すること狙っている。断じて憲法の改正を許さず、断固として天皇を守る。それが日本国民たる我々の義務だ。しかし、だからと言って小職は右翼ではいささかでもなく、立憲民主主義者でありリベラリストであることを自負している。

天皇陛下に安らぎの日々を

 天皇としての役目を30年間にも長きにわたって果たされ続けられたご苦労を心からねぎらい、後は皇后陛下とともに安らぎの日々をごゆっくりと送られるよう切に願う。

皇太子殿下に期待

 天皇陛下の後を継承して天皇に御即位される皇太子殿下とは、冒頭の東京都桧原村の都民の森でお姿を近くで拝見したに過ぎないが、その時の殿下のオーラは忘れることができない。とてつもなく巨大で強力な電気の刀のごときものが大地に突き刺さったような気に襲われ、口も重く一言もお声をお掛けすることができなかったことを覚えている。

 きっと皇太子殿下は天皇陛下の御意思を継がれて日本国憲法の定める役目を立派に果たされるに違いない。

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2019年02月28日

奨学生問題

江戸川区における奨学金「貸す」から返す必要ない給付へ

 江戸川区には「奨学金制度」が存在している。この制度は高校等に入学を予定している者、又は現在すでに在学している者を対象に奨学金を貸す制度であるが、高校生はこれを返還しなければならない。高等学校授業料の無償化制度が2010年4月からスタートしていながら、奨学金には返還義務を課している。少子高齢化で子供は宝と言われながら冷遇され、「奨学金難民」の暗い世界に高校生らを閉じて込めて悲劇を産んでいる。

江戸川区の奨学金制度

 江戸川区奨学資金制度は、「奨学生本人に返還していただく制度です。」とされる。その中身は、入学資金として10万円以内、奨学金として月1万円から3万円を「お貸しする」としている。

 奨学金は年2回(4月と9月)、半年分まとめて奨学生の口座に振り込まれ、奨学金希望者を毎年9月上旬から10月中旬頃まで募集している。この制度を利用するには、2人の連帯保証人が必要だ。この「連帯保証人」は、文字通り「奨学生本人が返還できなくなった時、本人に代わり返還をする義務があります。」として返還義務を課している。この連帯保証人制度もさることながら、この奨学金制度を受けることができるのは「心身ともに健全あること。」として障害者を排除して差別していることだ。奨学金を受けようとする者は、経済的な苦難に負けず、障害にも負けずに等しく勉強しようとする向学心あふれる者であって差別される理由はない。

「中退難民」が相次ぐ

 「アルバイトをして、奨学金を借りても学費が払えない」、奨学金を借りても学費が払えない」として大学を中退する人は年間およそ8万人いる。奨学金を借りた学生が卒業さえできず、中退が続出して「中退難民」が相次いでいる。中退すると、学業の機会が閉ざされるだけではなく、就職も厳しくなり、奨学金破産の予備軍ともいえる若者たちが増えている。江戸川区でも例外たりえない。これからの日本を担う若者には余りに酷で、少子高齢化を憂える大人には矛盾した態度だ。次代の日本を背負うことになる若者には、返済義務のない激励金にも似た給付の奨学金に変えるべきだ。

学ぶ意欲ある若者に奨学金の給付

 江戸川区からは一人の「奨学金難民」を作らない決意のもと、学ぶ意欲と意思のある若者には障害者も健常者も等しく激励金の目的で返済の必要のない給付に転換すべきである。我々大人は何れは彼らの世話になるのであり、彼らに素晴らしい日本をつくってもらわなければならないのである。彼らを大人が借金地獄に放り込むことは断じてしてはならない。

 給付の実施では親の収入基準を設け、奨学金を必要とする人達に一人でも多く給付対象を広げるべきである。奨学生に優しい江戸川区につくり変えて行かなければならない。

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2019年02月27日

高齢者問題

高齢者問題を真剣に取組む江戸川区へ転換

 江戸川区の生活習慣病による死亡割合は61.4%であり、これは全国の59.3%、東京都の59.5%より高い。これは高齢者に対する医療療養支援体制が、江戸川区では貧弱であることの結果なのである。

貧弱な江戸川区の高齢者療養医療支援体制

 江戸川区の女性の平均寿命は88.0才で東京都の88.9才より短く、江戸川区の男性の平均寿命は83.0才でこれまた東京都の83.9才より短い。この実態の原因の一つには、江戸川区の在宅療養支援体制の脆弱性を指摘しなければならない。そもそも人口10万人当たりの在宅療養支援の診療所数は、東京都の11.6施設に対して江戸川区はその半分の6施設に留まっている。同じく医師、看護師数についても23区平均で医師356.0人に対して江戸川区は114.5人と3分の1であり、看護師数も23区平均で705.5人のところわずか3分の1の274.9人に過ぎない。その結果が在宅で死亡する人の割合であり、23区平均で17.5%のところ江戸川区は19.8%と高く、逆に病院で死亡する人の割合が23区平均で74.1%のところ江戸川区は70.7%と低い。江戸川区の貧弱な高齢者療養医療支援体制の脆弱性を雄弁に物語っている。これでは江戸川区は医療・福祉の旗を到底掲げられない。

貧弱な高齢者医療福祉の結果として要介護認定率が下がる

 2013年の江戸川区の要介護認定率は14.70%のところ23区平均では18.20%と4ポイント低くなっているが、このことは決して喜ぶことができない。なぜなら江戸川区は高齢者に対する療養医療支援体制が脆弱、貧弱なであるがゆえに低いのであって、介護認定を待つ高齢者が次から次へと亡くなり認定率は下がる。これが江戸川区の介護認定の低さの原因だった。

 しかし、江戸川区は認知症になる高齢者は増え続け、高齢者人口に占める認知症高齢者の割合は、2015年には全国平均の10.2%に近づく7.8%となった。

東京都健康長寿医療センターの分院を江戸川区に誘致

 このような貧弱な療養医療支援体制を個々に対症療法的に構築しようが全ては砂上の楼閣で破綻し、江戸川区の高齢者医療福祉対策は区民から早晩総スカンを食らうであろう。根本的にこれを立て直さなければならない。それは江戸川区に東京都健康長寿医療センターの分院を誘致し、高齢者の心身の特性に応じた適切な医療の提供、臨床と研究の連携、高齢者のQOLを維持・向上させるための研究を通じて、高齢者の健康増進、健康長寿の実現を目指し、江戸川区において超高齢化の都市モデルの創造の一翼を担わせる。この分院を軸として医療・介護機関と連携して個々の周辺対策を講じることだ。

高齢者への感謝、尊敬といたわり

 我々は人生の先輩であり先導者の高齢者を感謝とともに尊敬していたわらなければならない。親を粗末にする者に社会の進歩も成長の片鱗もなく争いしかない。すべての高齢者を自らの親と思って接し、高齢者への医療福祉の向上に理解と努力をすることだ、江戸川区政の発展のために。

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2019年02月26日

庁舎建替問題

都市政策の観点を持て

 今、江戸川区の本庁舎の建替えをめぐって騒がしくなってきた。しかし提起されている建替え計画には首尾一貫した都市政策を持ち合わせているとは到底考えられないものばかりで、今またかつての過ちを繰り返そうとしている。

「古くなったから建て替える」

 江戸川区は現在の南棟築後52年、東棟築後44年等と嘆いて庁舎建替えへの理解を求めているが、そこには「古くなったから建て替える」と言う対症療法的な発想だけがあり、首尾一貫した江戸川区としての都市政策が見られない。

都市政策を持て

 本来、江戸川区のセンターとしての位置と役割から建替え計画を論ずるべきであって、いかなる都市機能を持つのかを先ず明らかにすべきである。その上で江戸川区が千葉県と都心を繋ぐ言わば交易都市とともに、都営住宅が林立して居住人口が多い大きな消費都市機能も持つ。ところがその位置と役割に無自覚なまま江戸川区は都心の衛生都市に甘んじてきた。その証拠に総武線―新宿線―東西線の千葉と東京を結ぶ横の交通網があるのみで、縦を結ぶ交通網が存在せず分断都市のままである。少なくとも人口減少・超高齢社会に対応するために都市機能の拡散に歯止めをかけ、住宅や商業施設、病院公共施設を、アクセスしやすい江戸川区のセンターに集約する計画でなければならない。

総武線―新宿線―東西線を結ぶ縦線のセンターに区役所

 建替え計画と同時に計画しなければならないのは、現在の3本の横の交通網の線(総武線、新宿線、東西線)を結ぶ縦の線を建設する計画を持つべきである。その交差したセンターに江戸川区役所を建設する。現在、江戸川区はその移転先として船堀地区にしようと計画しているようだが、この立地については賢明な判断として言える。何故ならこうした縦横の交通網が交差するのが、船堀地区であるからだ。従って区役所の移転―建替え計画には、この縦の交通システムの設置計画を併せ持つものでなければならない。この交通システムは、用地取得費用もかからない船堀街道の上を走るモノレールとすることだ。このセンターとしての船堀駅は、小松菜はじめとする第1産業産品、これを加工生産する第2次産業産品を集約し、そしてこれらを提供して販売するサービス業の第3次産業を推進して展開する一大ターミナルとすべきである。

徹底したコンピューター化

 そして江戸川区役所はコンピューター化を徹底的に進め、住民票などもオンラインで結ばれたコンビニで取得するようにして出張所・事務所を統合廃止する。これにより証明書発行窓口は省力化して統合縮小し、区役所本庁舎の1フロアはコンピューター室として専用し広く電子申請ができる高度化を推進する。区役所と家庭や職場との距離をコンピューター化の推進により狭めるとともに、江戸川区役所の窓口業務は出来る限り縮小して省力化する。

防災の砦

 そして海抜ゼロメートル地帯である江戸川区本庁舎を津波や河川氾濫に強い防災の砦にすることだ。停電を予想して自家発電能力を高める設備を整えるとともに、地下水を汲み上げる設備も設置することだ。こうして自力で統治機能を維持した上で、区内の生産農家、コンビニ等との協定に基づいて食料品の区民に配給する。江戸川区本庁舎でも区民への食糧の配給に備えて食糧備蓄倉庫を持ち合わせておかなければならないが、地下では水没する恐れがあるから地上6階以上の上階に備蓄する。新たに設置する南北を走るモノレールは地上に設置することから水没から逃れ、区役所本庁舎に設置する強力な自家発電機によってモノレールに電気を供給する。船堀街道上を走るモノレールは、津波や水害の自然災害から区民の命を守る。こうして江戸川区役所本庁舎は、津波や河川氾濫から区民の命を守る<防災の砦>にすることだ。決して江戸川区役所本庁舎の建替え計画は、「古くなったから建て替える」と片付けられる問題ではいささかもない。

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2019年02月25日

人口問題

江戸川区の人口問題

 江戸川区の人口は自然減少が続く墨田区や足立区、葛飾区を尻目に増加傾向を見せ、平成22年には68万人を突破した。それもその筈で出生率(合計特殊)が1.40を示し、墨田区の1.18を大きく引き離している。江戸川区の人口増加は区の税収が増えることを意味しているが、社会増減では逆に減少している。ちなみに平成25年だけ見ても江戸川区から転出する者は3万1千470人であり、転入者数は3万1千162人であり転入者より308人多い。このことから人口が多いと言うことで喜ぶのは早く、江戸川区をもっと暮らしやすく魅力ある町作りを推進して江戸川区からの転出者を減らしていかなければならない。

年少人口減、生産年齢人口減、高齢人口増

 わが国全体をおおう少子高齢化の波から江戸川区は決して自由ではありえない。

【年少人口】平成22年の9万8千人のところ平成42年では7万7千人(20%)へ2万人が減少すると江戸川区では見込まれており、年少人口が下がり続けている江戸川区の未来に重大な警鐘を鳴らしている。安心して子供を産み、子供とともに暮らし続けることができる江戸川区にしていかなければならない。

【生産年齢人口】生産年齢人口とは生産活動についている中核の労働力となる年齢の人口であり、現在の江戸川区では大きな変化はない。しかし平成37年以降は減少傾向を示していることは調査結果で裏付けられており、今の段階から何らかの施策を講じることが求められている。

【高齢人口】そして年齢が65歳以上の区民が江戸川区の人口に占める高齢化は、毎年上昇して平成22年では11万9千人であったものが平成42年では16万3千人と増加傾向が見られて37%と見込まれている。少子高齢化の波を例外なく江戸川区においても受け続ける。

経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)(平成26年6月閣議決定)

 これらの江戸川区を含む全国の人口の現状認識の上に立って政府は、「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」ものとして、「少子化と人口減少を克服することを目指した総合的な政策の推進が重要」とする閣議決定がなされた。だが具体的な政策を打ち出せず抽象的な議論で終始し、地方に対して政策の指針を提起するにはなっていない。そしてその翌月に開催された全国知事会では、「①出生率を高めるための施策、②地方で家庭を築く若者を増加させる施策、③世代間の支え合いの仕組み」の3本柱を掲げた。これまた現実的な施策を打ち出すには至らず、江戸川区は自らの施策を探らねばならない状況は変わらない。

江戸川区の独自の施策

 先ず施策として第1の重要なことは、高齢者に対する雇用を保障して収入の道を示すことだ。以前に提起したように高齢者を保育助手として採用したりする等の具体的な施策を示すことだ。第2には子供を社会が育てるものとする原則を確認した上で、待機児童ゼロとする幼児保育と幼児教育を強化することだ。相続登記もすることもなく長く放置された家屋をこの施策に役立てることが重要だ。こうして高齢者が幼児保育と幼児教育を推進する役割を持ち、高齢者と幼児との生きた関係を構築すべきであろう。

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2019年02月21日

統計問題2

統計法の罰則を課せ!

 統計法61条では、次に該当する者は、「50万円以下の罰金に処する。」と定めている。具体的には、基幹統計調査において「虚偽の報告をした者」「虚偽の資料を提出した者」「もしくは虚偽の答弁した者」等と罰則規定がある。厚生労働省の不正統計調査に係った官僚を同法に基づいて刑事告訴することだ。しかし与野党ともに不正統計調査に対して刑事告訴しようともせず、与野党の「出来レース」と言われても致し方ないであろう。

統計法の目的

 基幹統計調査を定めた統計法(平成19年法律第53号)は、「公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を計り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。」と定めている(第1条)。統計法では、「国民が合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」が基幹統計と定める。今回の厚生労働省による不正統計はこの基幹統計を歪めるものであり、国民の意思決定に重大な障害となったことは明らかだ。もとより憲法で保障された国民の知る権利を侵害したことも事実であろう。

罰則を課さなければならない官僚

こうした不正統計を行った厚生労働省の官僚は、当時の酒光一章政策統括官とその部下の石原典明雇用・賃金福祉統計室長(当時)、中江元哉元首相秘書官等、そしてこれらの任用責任者である根本匠厚生労働大臣である。彼らの手によって「データ補正」が密かに行なわれ、ことに18年1月の調査手法の変更に合わせ、賃金水準が高めの東京都の大規模事業所のデータを約3倍にする補正も密かに実施された。データ補正とは虚偽の報告のことである。しかしデータ補正なる虚偽の報告を公然と新聞紙上が語られることに大きな違和感を感じる。かれらは統計法61条に定める虚偽の報告に該当する違法行為を行ったのである。

徹底して追い込め

統計法に基づいて政府・厚生労働省を徹底して責任追求し、彼らの行為は統計法61条の罰則規定に抵触するものであることを身に沁みた教訓を与えることだ。刑の軽重の問題ではなく法律上の責任を追求することにより官僚に二度と悪事を繰り返さない教訓を与え、真に国民に目を向けて「国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与する」ことになる。

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2019年02月14日

統計問題

「不正統計問題」、江戸川区は大丈夫か?

 森友問題から厚生労働省の統計問題へと続いている一連の証拠改ざん事件は、政権にとって都合よく統計を改ざんして国民を欺く今の安倍政権の本質を物語っており、こうした独裁政権にも似た自民党政治に国民はストップをかけなければならない。他方で官僚機構は安倍政権に言いなりになって国民からの信頼を裏切り、日本国憲法の「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」(第15条)と宣言していることをどこかに忘れ去って安倍政権だけに奉仕している。官僚機構を構成している全ての公務員に、今一度、日本国憲法の原点に立ち帰えることを訴えたい。同時に我々のおひざ元の江戸川区役所は大丈夫なのか、検証をする必要があろう。

「不正統計」とは

 厚生労働省による不正統計問題とは、厚生労働省の「毎月勤労統計」調査で従業員500人以上の事業所について全数調査しなければならないところ、2004年から東京都分について約3分の1だけの抽出調査にしていたことを発端にしている。この不正統計により給料が高い東京都の大企業の比率が本来より小さくなり、平均賃金などを低くしている。この結果、「毎月勤労統計」が給付水準に連動する雇用保険や労災保険などで約600億円の未払いが発生し、延べ約2000万人に悪影響が出た。さらに、今年2019年1月22日に発表された特別監察委員会による中間報告では延べ69人からヒアリングしたことになっていたが、閉会中審査での質疑によって実数は37人だったことが判明した。しかもここで身内の厚労省職員がヒアリングを行っていたことが明らかになり、与野党から「身内によるお手盛り調査」と批判を集めた。監察委員調査の中立性は完全に失われたことになる。ドロボウがドロボウを監察すると言うものであって、観察委員会の独立性、客観性、中立性は完全に失われた。

江戸川区は大丈夫なのか?

 大丈夫ではない。現に江戸川区の行政の裏付けが、厚生労働省の外郭団体の厚生統計協会による『労働統計年報』『規模別・地区別・年齢別でみた職種別賃金の実態』等であって厚生労働省の不正統計問題と被っている。さらに同厚生統計協会による『人口動態統計』や『市区町村生命表』等についても追求のメスを当てなければならない。このように我々のおひざ元の江戸川区政も今回の厚生労働省の不正統計問題から自由ではない。果たして厚生労働省の不正統計問題は江戸川区政に影響を与えないか、江戸川区民の一人として心配だ。

統計学

 『ウィキペディア(Wikipedia)』では、統計学について次のように記載されている。「経験的に得られたバラツキのあるデータから、応用数学の手法を用いて数値上の性質や規則性あるいは不規則性を見いだす。」と。そこで今回のような厚生労働省の不正統計では、その数値に手を加えて政府の都合のいい統計数値を出す。統計であるから都合の悪い数値を捨象しても目につかない。こうしてドイツ・ナチズムによってかつて行われたと同様に大規模な世論操作が行われてファシズムへと国民を誘う。だからこそ統計学には中立性と客観性が求められる。しかし不幸にもこの統計の「不正は自民党政権が訴える政策に合わせるかのように行われている」(日刊ゲンダイDIGITAL 1月25日)。実際には賃金がマイナスになっていたにも拘わらず、厚生労働省による「不正統計」では賃上げになって景気が良くなっているかのように偽装された。これを根拠にして国民にバラ色の夢を与えたアベノミクスはウソで固められたデッチ上げの偽装アベノミクスと言うほかはないであろう。

 しかし「不正統計」は中央政界の問題に終わらず、我々のおひざ元の江戸川区政にも徹底した調査のメスを入れなければならない。

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2019年02月12日

都市政策

小規模な「超スマート社会」の有機的結合

 江戸川区の一部地域では農道がそのまま道路になったような都市政策のなさが見受けられる。しかも老朽化した下水道管の破裂による浸水などに対処するために、都市政策を持たないで対処療法的に補修工事が行なわれている。筆者が江戸川区に設置を求めているモノレールの新設提起から、全体としての都市政策を考えていかなければならない。

提起されている「超スマート社会」とは

 内閣府資料では、「超スマート社会」について、「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会のさまざまなニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といったさまざまな違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」と定義している。こうした「超スマート社会」を無数に建設して互いに有機的に結合させ、日本の社会全体を「超スマート社会」にすることだ。江戸川区を南北と中部に分けて「超スマート社会」を建設し、これらを有機的に結合して区民が助け合える近距離の社会を実現する。

中継基地と結合する「超スマート社会」

 そして江戸川区の中心地に電気・上下水道・ガス等のインフラの中継基地を設け、この中継基地と「超スマート社会」を結合して各家庭につないでいく。これにより大規模な配管工事は中継基地までにし、その後は家庭につなぐ小さい配管で済む。こうすることによって敷設・配管工事費用が大きく削減できるし、家庭への配管が破断しても大規模な供給ストップは免れる。これはリスク分散型社会と言ってもいい。

「スマート社会」は行政を行き届かせて多様性を認め合う

 このように「スマート社会」は江戸川区という行政区をさらに小さくした町の連合体であり、これまで行政の目が届かなかったところにも行政の施策が行き届かせることになる。それだけではなくそこにはそれぞれの違いを違いとして認め合う多様性があり、共に助け合う小さなコミュニティだ。大量生産、大量消費の高度成長期の考え方を捨て、個々の考えや思いを大切にして互いに尊敬し合う社会こそ「スマート社会」だ。

和と相違工夫を支援する行政

 このように「スマート社会」では、互いに人として尊敬し合う「和」の努力とともに一人一人の意見と相違工夫を大切にする行政に転換する。人が百人集まれば違った考え方が百あるのであって、決して画一的な押し付けや強制はしない。こうして「スマート社会」は戦争のない平和な社会を追求して止まない。これは21世紀のルネッサンスの実現だ。

しかし技術の最先端を行く

 とは言え、「スマート社会」は冒頭のとおり最先端技術によって実現できるのであって、コンピューター社会が土台を形成する。コンピューターの技術により、「あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といったさまざまな違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」を技術的に可能にする。しかしコンピューターは人を越えられず人に奉仕する。

「超スマート社会」によって長屋生活を復活

 しかしこうした「超スマート社会」は、かつての江戸時代の「長屋生活」にも似たものであり、顔を見せ合ってあいさつをし、近くの隣近所では米味噌醤油を融通し合って助け合っていた。「超スマート社会」とはかけ離れた社会ではなく、かつて江戸時代に存在した長屋生活のコンピューター化である。

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2019年02月04日

命を守る活動

「命の相談員」制度の実現

 今また幼い幼児の尊い命が奪われた。千葉県野田市の小学4年栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で死亡し、父親の栗原勇一郎容疑者(41)によって殺害された。我々の努力で命を救えたかも知れない痛ましい事件を断じて繰り返してはならない。

教育委員会は殺害に手を貸し、児童相談所は殺害を見逃した

 2019年1月30日、心愛(みあ)さんが殺害された千葉県野田市の事件で、心愛さんが「父からのいじめ」があると回答した学校のアンケートのコピーを、千葉県野田市教育委員会が栗原容疑者に渡していたことが分かった。何のことはない、野田市教育委員会は心愛さんを殺害した栗原容疑者に手を貸していたのである。そしてこの小学校は2017年11月、いじめに関するアンケートを行い、心愛さんは自由記述欄に「父親からのいじめ」があると手書きで回答して告発していながら、この殺害を見逃した。見逃したばかりか殺人事件に積極的に加担したのである。

NPO団体と連携して『命を守るネットワーク』

 教育委員会も学校も児童相談所も信用することができない。しかし幼い尊い命を何としても守らなければならない責務が我々にはあり、ここにこそ江戸川区の予算を講じなければならない。

 江戸川区内には命を守ろうとするNPO団体が複数あって地道な活動を積極的に進め、江戸川区の人権意識『民度』の高揚に大きく貢献している。江戸川区はこのNPO団体と連携して幼い命を守る活動を推進し、NPO団体から告発された人権侵犯事件に対して的確に応えて事件を解決していく。子供たちと江戸川区を結ぶ絆としての役割を、このNPO団体が担う。

『命の相談員』を新たに設置

 江戸川区としては『命の相談員』を新たに設置して予算措置を講じ、これにNPO団体の役職員に就任していただく。『命の相談員』は区内の小中学校に出向いて相談を受け付け、事案を発見したときは直ちに区へ問題提起して関係機関との『命のネットワーク』での協議を通じて問題解決の道を探る。行政機関の手が及ばない所にこそ重大事件が起こるものであることから、どうしてもNPO団体の役割と活躍が期待される。

人権意識の高揚

 さらに江戸川区では幼い子への人権意識を高揚させる講演会、シンポジーム、映画会、様々な催しを区内全域で開催する。幼い子も基本的人権を有して人格があることの認識を高め、命の尊さを区民一人一人に訴えて広げていかなければならない。江戸川区を日本一人権意識『民度』が高い自治体にし、江戸川区全域ですべての区民が結束して互に助け合っていく世論を広げていかなければならない。今回の事件は千葉県野田市だけのものとは考えてはならず、江戸川区にも発生するかも知れないのだ。幼い子への虐待を見逃さず、許さない気持をすべての区民が持ち、江戸川区を『人権の町』にしていくことだ。

「ごはん」より命の尊さ

 江戸川区では「ごはん」や「弁当」を巡って「人権意識」を高めようとしているが、人権に対する視点が江戸川区とは違う。我々は、「太った豚よりやせたソクラテス」の道を行く。「太った豚」には人権意識はなく、哲学者たるソクラテスの次の言葉に学ぶ。『生きるために食べよ、食べるために生きるな。』と。

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2019年01月25日

世界情勢

トランプを退陣させて世界の自由主義陣営を守れ

 今、世界の自由主義陣営が危ない。ロシアによる分断工作はアメリカではポピュニズムのトランプ大統領を登場させて孤立主義を招き、自由主義の旗手としてのアメリカの影響力を削ぎ、EUにあってはEU離脱を決めたイギリス、スペイン等々の諸国への分断工作を積極的に行なっている。世界に新たな冷戦構造が生まれつつあり、世界の自由主義陣営が危機に陥ろうとしている。

ロシアによる世界の分断工作

 新聞各紙は、ロシアが世界規模でソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて欧米への情報工作を仕掛けていると報じている。2016年の米大統領選への介入に加え、欧州連合(EU)離脱を決めた英国やカタルーニャ州の独立問題に揺れるスペインへの攻撃疑惑が浮上した。

「ロシアは情報を兵器として使っている」と、イギリスのメイ首相が警戒をあらわにした。しかし、そのイギリス自身もEU離脱を決めるなど、EU崩壊を画策するロシアの分断工作に乗ってしまった。

ガーディアン紙は、ツイッター上で400超のロシア発の偽アカウントが作成され、イギリスのEU離脱について3500回投稿されたとするエディンバラ大学の調査を報じた。最近もイスラム移民への憎悪をあおる投稿がSNSを通じて拡散されているという。ロシア誌RBCは10月、アメリカを標的にする部隊がフェイスブックなどで120のページを展開し、600万のフォロワーを獲得していたとする複数のIRA社幹部の証言を報じた。SNSを通じてアメリカ国内の人種問題活動家などに直接接触し、デモ活動をあおっていたとも伝えている。

アメリカではFB、ツイッター、グーグルがロシアによる介入の調査に乗りだし、一部が報告された。FBは米議会に事例を提出し、最大1億2600万の米国民がロシア発の偽情報を閲覧した可能性があるとの見方を示した。米議会が公表したFB事例では、民主党の大統領候補でロシアに厳しい姿勢をみせたヒラリー・クリントン氏をおとしめたり、人種間の対立をあおったりする内容が目立った。ヨーロッパ外交官は「ロシアは外交ではなく工作に注力している」と指摘している。

自由が危ない

一度は崩壊した冷戦構造が再び頭をもたげようとし、新たな冷戦時代が到来しようとしている。それは自由主義対社会主義という構造ではなく、社会主義のソビエトが崩壊して「自由主義対独裁主義」との構造の登場である。自由を求めるのか、あるいは独裁主義を許すのか、決して相容れない価値観の衝突である。戦前の軍部独裁で辛酸をなめた日本は自由と民主主義の日本国憲法を制定して独裁を決して許さず、自由のために闘い続けることを宣言した。明らかに日本は疑う余地のない自由主義陣営の中に一員として属し、アメリカやヨーロッパ等と連帯して自由のために闘う。その自由が世界規模で危機に瀕している。自由の旗手たるアメリカが「アメリカン・ファースト」の名のもとに孤立主義への道を歩んで世界の自由主義陣営を崩壊させ、そこにロシアのクサビが入いる。アメリカのトランプ大統領はロシアによる自由主義陣営の崩壊の旗手となり、ロシアは世界の独裁主義の覇者となった。世界規模で自由は危機的状況にある。

トランプ大統領を退任させてアメリカを再び自由の旗手に

アメリカ国民は分断を乗り越えてトランプを大統領のイスから引きづり落ろし、世界に向けて自由主義の旗手の地位に復活することを宣言すべきである。世界はアメリカが自由主義陣営の旗手に復活することを心待ちにしている。ロシアのスパイであるトランプの真の姿を暴くべきだ。

アメリカはNATOを脱退せずにヨーロッパと改めて結束し、イギリスのEU離脱を阻止すべきである。そして全世界に向けて自由主義陣営の復活を宣言し、ナショナリズムが全世界を滅ぼす仇敵であることを明らかにすべきである―1人になっても自由のために戦う。

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2018年12月28日

国際協定問題

憲法違反の「IWC脱退」してはならない!

 日本がIWC(国際捕鯨委員会)から脱退することが、2018年12月21日明らかになった。しかし、これは日本国憲法第98条2項「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」との定めに違反すものであり、憲法違反の「IWC脱退」を直ちに撤回すべきである。

IWC(国際捕鯨委員会)

 IWC(国際捕鯨委員会)は1982年商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)を決め、日本は1987年から商業捕鯨から調査捕鯨に移った。日本は調査で回復が確認された種類のクジラに限り商業捕鯨の再開を求めてきたが、オーストラリアやアメリカ、ヨーロッパ(EU)などの反捕鯨国が反対して認められていない。2018年9月IWC総会で日本は商業捕鯨再開と組織改革を提案したが、賛成27、反対41、棄権2で否決された。この結果を受けて日本政府は、「締約国としての立場を根本から見直す」と表明し、脱退も選択肢に入れて対応を検討していた。日本政府はIWC脱退後、非加盟国のカナダのようにIWCの科学委員会だけに参加し、科学委員会の管理手法に基づいて商業捕鯨に踏み切ることなどを視野に入れるが、国際的に受入れるかは不透明な状況である。

IWC脱退の国際社会からの反発

 日本の捕鯨に反対してきたオーストラリアのプライス環境大臣は、「日本のIWC残留を強く望むが、脱退は日本が決めることだ。商業目的であれ、いわゆる『調査』であれ、すべての形態の捕鯨に反対していく」としている。新たな枠組みが整わないまま脱退して商業捕鯨を再開すれば、国連海洋法条約などで国際司法裁判所(ICJ)に訴えられる可能性もある。2014年には南極海での調査捕鯨が国際法違反とするオーストラリアの訴えをICJが認め、日本に対して中止命令が出された。「あれは日本にとってかなりの汚点。みんなあのときのことを恐れている」と外務省幹部のコメントを明らかにしている。

かつての『国際連盟』脱退と世界大戦の招来

 1931年9月日本が所有する中国の鉄道が爆破される「柳条湖事件」が勃発したことを口実に、関東軍が満州一帯を占領して「満州国」の建国を宣言する「満州事変」が起きた。中国はこの日本の行為を侵略として国際連盟に提訴し、これを受けて連盟側は現地に調査団を派遣し、団長を務めていたイギリスのリットンが作成した「リットン報告書」では関東軍の行動は不当なもので「満州国」を承認することはできないという内容だった。「リットン報告書」の同意確認では最終的に賛成42、棄権1に対して反対は日本だけとなり、これを不服とした日本は1933年3月に国際連盟から脱退を表明し孤立化への道を選択した。こうして日本は国際連盟を脱退し、その後、ドイツやイタリアも脱退することとなり、国際情勢は第二次世界大戦へ向けて一気に動き出すことになった。国際協調が失われた孤立化への道は世界大戦を招くのであり、何としても国際協調主義を固く堅持しなければならなかった。

憲法の国際協調主義

 そうであるが故に日本国憲法第98条2項では、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と定めて国際協調主義を堅持することを宣言している。今回の「IWC脱退」はこの憲法98条2項に違反して無効であり、第ニ次世界大戦の深い反省に立って国際協調主義を徹底して追求してかなければならない。憲法違反の「IWC脱退」は絶対に許されず撤回しなければならない。日本は国際協調主義のなかに世界平和を求め、その先頭に立って国際協調主義の旗を掲げなければならない。

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2018年12月3日

経済政策

地場産業の保護育成策

 江戸川区域で営々として経済活動を行ってきた地場産業は、技術・技能、労働力、原材料などの経営資源が江戸川区域に集積していることによるメリットを発揮して生産・販売活動を行っている。

■地場産業の歴史

 各藩の奨励策によって全国各地に地場産業がおきた江戸時代、繊維製品、各地の家具、仏壇・仏具、漆器、和紙、陶磁器などの製造業が発展した。その後、これらは商品経済の波に飲み込まれて産地としては消滅したり、一部にはわずかの事業者が近くの固定客向けに製造する零細事業として残存するのみとなったりしている。しかし、それらのうちには、今日、「伝統産業」として脈々として生き残ったり、歴史性と地域性とその技から独自のブランド力を形成している。

 大正時代には動力機の普及により生産力は著しく拡大、輸出産業として当時の外貨獲得の担い手として織物、白絹、陶磁器などが大きく発展した。

 第2次世界大戦後の昭和30年代、高度経済成長とともに地場産業は発展を続けた。昭和40年代には、発展途上国の追い上げにより国際競争力が低下して輸出に影響が見られ始める一方、競合する輸入品の流入も見られ始めた。昭和50年代の安定成長時代には地場産業の条件は一段と厳しくなり、労働条件の改善にも係わらず次第に人手不足に陥っていった。

 プラザ合意以降の急速な円高の影響を受けたが、内外市場の構造変化のもとで地場産業の高度化により活路を開こうとするものも現われた。バブルによる景気拡大は地場産業に影響を与えることなく、むしろ人手不足等が深刻になっていった。

 こうしたなか伝統産業としてのブランド力を背景とする地場産業については、伝統的な日本文化に基礎を置いていることから、少量限定生産ながら高い単価の得られるマーケットを確立して存在感を保持している。

 一方、限定生産でない製品についても力のある地場産業は、生き残りをかけて消費者の指向の多様化を取り込み、デザイン力・企画提案力を向上させ独自の新製品開発により活路をひらくもの、伝統的な用法から脱皮し新たな用途開発に挑むものなどがあり、これら地場産業がリードして新天地を開こうとしている産地もある。

■地場産業の今

 多くの地場産業は、今、転換期を迎えている。ただ、バブル崩壊後の不況の中で地場産業が興った地域は、市街地に近く利便性は高いことから閉鎖された工場跡地がマンション、大型店舗、平面駐車場になったりして、その姿をとどめない地場産業も少なくない。

■地場産業の保護育成策

 江戸川区内にある地場産業が、さらなる地場産業の活性化のため新商品開発、販路開拓、人材育成等の事業を実施する場合の「地場産業等活性化補助金」を利用する。

(1)伝統技術の継承発展の促進

 地場産業の伝統技術を数値化して可能な限り自動化を推進する。この新商品・新技術の開発等の事業に必要な費用の一部について、江戸川区が保証しながら東京都にからの資金を求める。

(2)人材確保・技術承継事業

 地場産業の人材確保を支援するため、江戸川区が全面支援してハロワークによる人材を確保し伝統技術の承継の研修事業を推進する。

(3)地場産品展示・普及支援

地場産業の伝統的産品の販路開拓等を支援するため、展示会の開催や出展の事業を積極的に支援する。江戸川区庁舎の利用を積極的に推進する。

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2018年12月1日

外国人労働者問題

日本人から仕事を奪う入管法改正を許さない!

 政府自民党は日本の経済界からの強い意向を受けて外国人労働者の受け入れを拡大する「入管法」改正案を昨日(2018年11月27日)強行採決し、参議院の審議に場面が移った。国内の雇用問題を放置してますます外国人労働者が日本人労働者から仕事を奪う恥ずべき法案を、すべての日本人の手で葬りさらねばならない。

現下の日本の失業者数162万人

 総務省統計局の平成30年(2018年)9月分の労働力調査(基本集計)によると、我が国の就業者総数が6715万人であるところ完全失業数は162万人で完全失業率は2.3%となっていると発表している。この調査そのものについても疑いがあるが、この議論は後に委ねる。何れにせよ政府自民党は現下に162万人の失業者を抱えている事実にも拘わらずこれを放置し、さらに外国人労働者を大量に受け入れようとしている。

この上さらに外国人労働者34万5千人を受入れ拡大

 法務省によると入管法改正で平成31年度から5年間で34万5千人を見込んでいると国会答弁で明らかにしているが、実際はこれより多くなることは確かだ。自らの足元の日本で162万人もの失業者がいながら、その上どうして外国人労働者の助けを求める必要があると言うのか。さらには介護労働者の不足が叫ばれている介護労働者たちは、低賃金のうえに安定しない契約社員の身分におとしめられて苦しんでいる。こうした同じ日本人の失業者と劣悪な労働実態を解決することなく放置して外国人労働者に頼ることは、完全な日本人労働者の切り捨てを意味する。少なくとも不足されるとする34万5千人の外国人労働者は、日本人の162万人の失業者によって労働力を充分にまかなうことができる。これは小学生にもわかる算数の世界である。

職と安定を求める日本人失業者の切り捨て

 誰も好き好んで失業した訳でもなければ不安定な契約社員の道を甘んじて受けた訳でもなく、「楽になる」「自由になる」と経営者にだまされた結果である。その数162万人で今回政府自民党が言う外国人労働者の受入数34万5千人を上回り、失業者が職につけば労働力の不足は解消することかできる数字である。162万人の日本人の失業者は日本社会をこの手で良くして貢献したいと願っており、少なくとも祖国が違う外国人労働者よりもはるかに強い祖国日本への思いがある。162万人の失業者がいながら34万5千人の外国人労働者を受け入れて働かせることは、この失業する162万人の日本人を切り捨てることの宣言にほかならない。

さらなる低賃金と労働条件の悪化

 現下に162万人もの失業者がいながら34万5千人もの外国人労働者に頼ろうとする日本の経営者たちは、日本人労働者より低賃金で劣悪な労働条件のもとで文句一つ言えない外国人労働者が欲しいのだ。だから162万人の日本人失業者を切って捨て、34万5千人の外国人労働者の受入れを拡大しようとしている。日本人失業者への思いがあるのならこれらの失業対策を示し、彼らの生活を少しでも向上させる政策を日本国民に示すべきである。そうした努力をした上でそれでも足りないと言うのであれば聞く耳を持つ。

日本人失業者への思いもなく切り捨て外国人労働者に頼ることは、日本人労働者より低賃金で劣悪な労働条件を外国人労働者に強いる目的しかない。だからこそ外国人労働者への社会保障もなく問題があれば祖国に即送り返すことしか考えない政府自民党なのであり、人として生きる術も何もないのである。

「徴用工」問題の再来

 今、外交問題となって日韓関係が極度に悪化させた原因の一つともなった「徴用工」問題を、安易な外国人労働者の大量受入れで再来させることは避けられない。これほど日本バッシングを世界的に受けていながら懲りない政府自民党と経済界は、今また外国人労働者の「徴用工」問題を再来させようとしている。 

 そもそも日中戦争当時の1938年に制定された国家総動員法をもとに、工場や炭鉱に動員され働かされた民間人の労働者の事件が「徴用工」問題である。アメリカとの戦況が悪化した1944年9月以降、本土の日本人と同様に朝鮮半島に住んでいた人たちも労働に駆り出された。戦後、この元「徴用工」への補償問題は、1965年の日韓基本条約で国交正常化して次の日韓請求権協定を結んで解決した。

 (協定の第2条1項)「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなる事を確認する」。

 これにより日本の植民地支配によって損害を被った韓国人や会社への補償は、日本や日本の企業ではなく、国交正常化の際に日本政府が支払った5億ドル(有償・無償合わせて)という巨額の資金を受け取った韓国政府が行うという事で、両国が国際的な約束して協定を締結した。ところが最終的に解決されたはずの問題が再び再燃化し、今日の「徴用工」問題へと発展した。

 これから再び「徴用工」問題を外国人労働者の祖国から引き起こされないとも言えず、後に至って日本によって強制的に連れて来られたと言われかねない。

現地に工場を建設して自主自立をうながす

 「徴用工」問題の再来を許さず難民移民問題の根本的解決方法は、外国人労働者を日本に連れて来るのではなく祖国に工場を建設して技術移転することだ。自国民が働く工場があれば日本に来ることもなく自国で雇用を創出して外交問題への芽は消滅し、工場建設と技術移転した日本は尊敬されるに違いない。こうして「徴用工」問題の再来を許さず世界平和に確かな貢献を果たすことができる。今日の「徴用工」問題は、日本の世界に貢献する術を照らし出した。

国内失業対策と労働条件の改善

 ひるがえって国内に目を向けて162万人の失業者に対する職業訓練を施し、労働者不足が叫ばれている34万5千人分の雇用につなげることだ。何も海外から外国人労働者に助けを求める必要もなく、まず日本国内の失業者をそこで働ける政策こそが求められる。そして国内労働者の働く労働環境を向上させて労働条件を改善することが求められる。国内の賃金と労働条件を改善する努力を怠って外国人労働者を犠牲にすることは止めさせなければならない。

誰が日本人の真の味方か

 外国人労働者の受入れを拡大しようとする政府自民党と財界は、162万人の日本国内の失業者を切り捨て、外国人労働者を犠牲にして自らの利益を追求しようとしている。日本人と外国人の労働者の新たな犠牲を生もうとし、今また「徴用工」問題の原因を作ろうとしている。日本人の真の味方が誰なのかを明らかにさせようとしている。

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2018年11月5日

平等思想

障害者水増し事件
安倍首相のデータ改ざんが後押し

 2018年発覚した中央省庁と自治体等の公的機関で障害者手帳の交付に至らず障害者に該当しない者を障害者として雇用し、障害者の雇用率が水増しされていた問題が発生した。本来、障害者が雇用されるはずが雇用されず、何の障害もない健常者を障害者に偽らせて採用すると言う明らかな障害者差別が中央省庁で繰り広げられたのである。障害者への差別を悪用して障害者の雇用を奪う中央省庁による「水増し採用」は、2重の差別につながるものなのである。

■障害者水増し事件

中央官庁による水増し事件で「厚生労働省の通知には障害者手帳の有無の確認が書かれていなかったから」と言われているが、我々障害者はタクシーに乗ってわずか50円、100円の割引きを受ける場合も障害者手帳の呈示が求められているのである。このことをわかっていながら確認せずに「障害者」と偽って採用したのであって、障害者は抵抗てきないとの誤った認識だったのである。その証拠に障害者に限定した採用試験が実施されていなかったのである。

■障害者水増し中央官庁

 障害者水増し採用していた中央官庁は、内閣官房、内閣府(宮内庁、公正取引委員会、消費者庁を含む)、総務省、法務省(公安調査庁を含む)、外務省、財務省(国税庁を含む)、厚生労働省、農林水産省(水産庁を含む)、経済産業省(特許庁を含む)、国土交通省(海上保安庁、観光庁、気象庁、運輸安全委員会を含む)、環境省、防衛省(防衛装備庁を含む)、人事院、会計検査院の27省庁である。

 これにより障害者の実雇用は大幅に下がり、行政機関の障害者実雇用は実雇用率2.49%から1.19%、雇用障害者数6,867.5 人から3,407.5人と大幅に低下した。さらに司法機関の障害者数実雇用率は2.58%から1.97%、雇用障害者数は641人から242人へと半減以下へとなった。このように障害者の水増し採用問題は、障害者の雇用を完全に奪ったのである。さらに地方自治体にも及んでおり、37府県、2政令指定都市、5市町村、2の警察本部でも水増し採用は全国に広がっているのである。

■障害者と偽って障害者の雇用を奪う権力の障害者差別

 こうも露骨な権力による障害者差別は、障害者への差別を悪用して健常者の雇用を拡大させると言う二重の差別だ。しかしこの障害者差別の温床となっているのが、安倍首相を先頭とする政府自民党のデータ改ざんの推奨である。

 「森友問題」で財務省理財局による公文書の改ざんが行われ、政府に対する公文書への信頼を失墜させたにも拘わらず責任を求めないどころか推奨すらしている。政府のトップがこうであるから中央官庁によるデータ改ざんも何らの罪の意識もなく全国的かつ積極的に推進され、全国の障害者が採用されないまま障害者差別のただ中に置かれたのである。

 今回の中央官庁による障害者差別は、差別をなくそうとする意識を中央官庁から奪って全国に推奨するものだ。障害者と偽って健常者の雇用を拡大することは、現存する障害者差別を認めて障害者を踏み台にする二重の障害者差別なのである。

 障害者差別を安倍首相自らが後押ししており、こんな安倍首相が総理大臣にいる限り障害者差別はなくならない。

 やはり障害者自らが差別解消の大声を挙げ続けなければならず、国会議員や地方議員に障害者自らが進出していかなければならない。

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2018年08月20日

福祉政策

児童福祉手当を倍増!

 児童扶養手当とは、離婚・死亡・遺棄などのため、ひとり親世帯(母子家庭・父子家庭)の生活の安定と自立を促進するために設けられた制度だ。

 現在、江戸川区では、手当の全額を受けられる場合、児童1人の場合につき月額42,500円、児童2人の場合につき月額52,540円、児童3人以上の場合につき3人目から1人増えるごとに6,020円~3,010円を加算した手当を受けられる制度になっています。しかし私は、その福祉手当を倍増させなければならない、と主張する。

 総理府統計局の平成16年統計によると勤労者世帯のうち,母子世帯(母親と18歳未満の未婚の子供の世帯)の1か月平均実収入は217,676円となっている。これは,標準世帯(夫婦と子供2人で有業者が世帯主1人だけの世帯)の実収入452,098円の48.1%と半分以下となっている。

 母子世帯の実収入の内訳をみると,世帯主の勤め先収入が191,881円(実収入に占める割合88.1%),社会保障給付が16,684円(同7.7%),養育費などの仕送り金・財産収入が2,954円(同1.4%)などとなっている。

 母子世帯の1か月平均消費支出は191,309円となっている。これは標準世帯の消費支出(311,506円)の61.4%に当たる。消費支出を平成11年と比べると,母子世帯が実質5.1%の減少,標準世帯が実質5.8%の減少となっており,母子世帯の減少率が低くなっている。標準世帯に対する母子世帯の消費支出の比率をみると,昭和54年(69.1%)から平成11年(61.0%)まで一貫して低下していたが,16年は61.4%と若干ながら上昇している。

 消費支出に占める費目別割合をみると,母子世帯は食料,住居,光熱・水道,被服及び履物の割合が標準世帯を上回っている。特に,住居の割合が際立って高いが,これは母子世帯の持ち家率(31.4%)が標準世帯(65.6%)に比べ低いことによる。

 これらの統計による母子家庭の家計では、実収入が標準世帯の半分以下であり、収入とほぼ同額の消費支出でゆとりがまったくない。しかも標準世帯の消費支出が311,506円のところ母子世帯は191,881円とほぼ3分の2に留まっている。こうした母子世帯をめぐる家計にあって大きな救いとなっているのが児童福祉手当であり、これを当て込んだ児童福祉手当なのだ。この手当の行方に母子家庭の未来があり、母子家庭の運命を左右するほどの価値ある手当である。せめて標準世帯452,098円の70%300,000円を確保したいと願う。そうすればゆとりが生まれて子供の養育により広くより深く当てることができ、潤いのある子供との生活を実現することができる。このために児童福祉手当を月額約5万円のところ10万円に増額することだ。この手当で人間を救えるのであれば、それは安いものだ。

 お金は人のためにあるのであって人を幸せにする道具だ。

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2018年08月20日

都市農業政策

江戸川区民の生活と安全を守る都市農業
―自分のこととして農業を守る―

 江戸川区の農業は巨大な消費地を抱える都市農業の典型であり、安定的な継続と都市農業の有する多様な機能を十分に発揮しなければならない。平成27年4月22日に施行された「都市農業振興基本法」が目指す目標の実現に努力していかなければならない。

 都市農業振興基本法の(基本理念)第3条において、次のような位置付けを定めている。

 「都市農業の振興は、都市農業が、これを営む者及びその他の関係者の努力により継続されてきたものであり、その生産活動を通じ、都市住民に地元産の新鮮な農産物を供給する機能のみならず、都市における防災、良好な景観の形成並びに国土及び環境の保全、都市住民が身近に農作業に親しむとともに農業に関して学習することができる場並びに都市農業を営む者と都市住民及び都市住民相互の交流の場の提供、都市住民の農業に対する理解の醸成等農産物の供給の機能以外の多様な機能を果たしていることに鑑み、これらの機能が将来にわたって適切かつ十分に発揮されるとともに、そのことにより都市における農地の有効な活用及び適正な保全が図られるよう、積極的に行われなければならない。」。そして、これに加えて次のように指摘している。

 「都市農業の振興は、我が国における少子高齢化の進展及び人口の減少等の状況並びに地球温暖化の防止等の課題に対応した都市の在り方という観点を踏まえ、都市農業の有する前項の機能が適切かつ十分に発揮されることが都市の健全な発展に資するとの認識に立って、土地利用に関する計画の下で、都市農業のための利用が継続される土地とそれ以外の土地とが共存する良好な市街地の形成に資するよう行われなければならない。」と。

1.江戸川区の農業の現状

 江戸川区の農業は、東京23区の921万人の人口を抱える一大消費地の真ん中に位置する利点を生かした新鮮な農産物の供給と言う生産面での重要な役割だけではなく、身近な農業体験の場の提供や災害に備えたオープンスペースの確保、潤いや安らぎといった緑地空間の提供など、多面的な役割を果たしている。

 「東京都農作物生産状況調査」によると江戸川区の小松菜収穫量(28年産)は2,854トンで、東京都全体の小松菜収穫量(7,219トン)の約39.5パーセントを占めている。東京都内では、1番の収穫量である。さらに、「東京の花どころ江戸川」と言われるように、江戸川区では花き栽培も有名で、朝顔・ポインセチア・各種花苗等様々な品種が生産されている。平成28年のデータを見ると江戸川区の農業産出額は、14億2千6百万円(農地面積54.1ヘクタール)で、23区内の農業産出額では江戸川区が第1位に輝いている。

2.地産地消

 東京で生産された農作物を東京で消費する「地産地消」が実現しており、首都東京における農作物の安定した好循環が実現している。自然災害も少ないこともあり東京の都市農業はITの進歩を受けた新たな「地産地消」へと有機的に発展している。農業産出額が1位の江戸川区は、東京における新たな「地産地消」のモデルを示す義務がある。

① 江戸川区に『江戸農業ネットワーク』を開設して東京23区の消費者団体と農家をネットで結ぶ。

② 農家から寄せられた新鮮な野菜をネットで流して注文を受ける。

③ 注文を受けた野菜を物流会社にネットで配送依頼する。

④ 野菜が届けられた注文者はネット決済する。

このように東京の「地産地消」はネットをフルに利用した新しい流通のシステムのモデルを提案するものであり、地上から店舗無くすことになる。

3.環境保全

 江戸川区には江戸川や荒川の河川敷、葛西のなぎさ、区内を縦横に流れる親水公園や親水緑道などがあり、区民が身近に水や緑とふれあうことができるようになっている。これらの水と緑は我々に憩いの場を提供するだけでなく、多くの野鳥や昆虫、魚類などの生息環境となっている。そこへ古くから営まれて来た農業が江戸区民に緑と憩いを与えている。同時にこのような緑や水辺は、ヒートアイランド現象による気温の上昇を緩和し、省エネルギー型のまちづくりにも役立っている。

 過去10年間の観測の結果は、区内の平均気温は15.8℃~16.5℃となっている。首都圏の気温の状況に大きな影響を与えるヒートアイランド現象による気温の上昇が問題になっているが、江戸川区内の都市農業の緑地や水面がヒートアイランド現象を緩和していることが明らかになった。江戸川区の農業が自然環境の保全に計り知れない影響を与えているである。

4.防災

 江戸川区の農地は、災害時に避難場所となったり、炊き出しや物資供給を行う災害支援拠点となったりする。また、仮設住宅用地や復旧用の資材置き場などとしての活躍も期待されている。さらに江戸川区の農地は、食料や水が深刻に不足することが予想される首都圏の災害時に、農産物や井戸水を提供することが期待されている。当然のことながら建物のない農地は、火災時の延焼を防ぐ役割もある。雨水が浸透しづらいアスファルト舗装などが多くて洪水の危険性が高まる首都圏では、江戸川区の農地は雨水を溜めることで洪水の発生を防ぐ効果が期待されている。

 さらに都市農地の土壌が雨などの栄養分を吸着したり分解したりすることで、川や海に栄養分が流れ込みすぎて赤潮などが発生することを防ぐ。

 また江戸川区の農地は首都圏の貴重な緑地空間であり、鳥や昆虫などの生き物のすみかとなることで生物の多様性を保全することが期待される。

 このように江戸川区の農地すべての区民と都民の命と暮らしを守る役割があり、江戸川区の農業は全区民と全都民全体の問題であり課題なのである。

5.都市農業の振興

 江戸川区民と共生する都市農業を振興する事業を推進する。

① 「地産地消」のためのネットを構築する。

② 市民農園の区民への案内と募集をする。

③ 江戸川区施設を朝市のために使用許可して都市農業を区民による支援体制を構築する。

④ 農業と連帯する区民の命と暮らしを守る運動を推進する。

⑤ 政府(農水省)の都市農業を守る事業を江戸川区の農業に適用する。

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2018年07月25日

交通政策

船堀街道上にモノレールを走らせて
渋滞を解消

 モノレールとは、1本の軌条(線路)により進路を誘導されて走る軌道系交通機関である。そもそもモノレール(monorail)の語源は、「一つのもの」を意味する接頭語「mono」と軌道を意味する「rail」、つまり単軌鉄道(たんきてつどう)を意味する。

 このモノレールが登場したのは、二条の鉄製レールを持つ「鉄道」が最初に商用化された1825年より1年早い1824年であり、その最初のモノレールが「パーマー式モノレール」である。

 「モノレール」が永く生き続ける理由は、地上を2本線の軌道を走る鉄道には多大な予算と労力を必要とする用地買収や線路の設置、および保守点検を大幅に削減して簡素化すると言う大きな利点があるからだ。

モノレールの長所と短所

 モノレールには、一般の2本の鉄道を走る「二条式鉄道」との比較で以下の長短がある。

【長所】

1.地上高くかけ渡す高架化が簡単であり、しかも占有する敷地面積が狭い。

2.地上高くかけ渡す(高架化)際の構造物の規模が小さくなり、建設費が安く済む。

3.ゴムタイヤを使用するものについては、鉄道の2本式レールを使うものと比べ、騒音公害が少なく、急勾配にも支障がない。走行輪は幅の狭いダブルタイヤを使用するため、鉄道より曲線半径の小さい曲線でも走行が可能である。

4.サフェージュ式(軌道桁を下面中央部が開いた鋼板製の箱型とし、下面中央部にある台車に車両上部からの懸垂リンクを連結して車両を懸垂している)は雨や雪に強い、ラックレールを採用した産業用モノレールは45度(1000パーミル)程度まで登れるなど勾配に強い、簡易型は極めて敷設費用が安いなど、形式によっては突出した長所を持つものがあり、要求と合致した場合は適切な選択肢となる。

【短所】

1.走行路が軌道桁の1本であるため、走行装置である台車は走行車輪の他に案内車輪や安定車輪を必要とし、1つの台車にゴムタイヤを10本程度装備して車両の機構がやや複雑となり、車両の価格も高価となる。

2.鉄道の2本式レールを使うものに比べて高速性能が劣り、ゴムタイヤを使用する場合は転がり抵抗が鉄車輪よりも大きく、そのため動力費が嵩む。

3.ゴムタイヤを使用する場合は、鉄車輪式よりも単位走行距離毎の磨耗が早いので交換間隔が短く、交換費用がかかり、稼働率が下がり、維持費を押し上げる一因となる。

4.ゴムタイヤを使用する場合は、鉄道の鋼車輪より負担荷重が小さく、車両の収容力は普通鉄道より小さい。

5.高架路線の場合、車輌故障などが起きた際に、乗客を避難させるのがむずかしい。避難路を設けることもできるが、その場合、構造物の規模が大きくなってしまう。

6.多数の方法が乱立しており、相互に互換性がない。多少の改造で車輌の譲渡が可能な場合が多い2本式鉄道とは異なり、設備類の流動性がほとんどない。

方式

 モノレールの設置方式として、懸垂式(Suspended System)と跨座式(Straddle-beam System)の二つに分類できる。電車線で使用される電力は、設置される電車線のスペースや輸送力の関係から直流の1500Vが標準となっている。

懸垂式(けんすいしき)

 懸垂式(けんすいしき)とは、車輌を吊るように上にレールがある(レールに車輌がぶら下がっている)形態のモノレールである。歴史的に跨座式より古く、商業的に成功したのも懸垂式の方が先である。

 懸垂式は、車輪と軌道が車体の上にあるため、車体も屋根上を支点に振り子のように揺れるため、横風に対して左右の揺れが大きくなるが、車両の重心が軌条面からかなり下に位置しており、最も安定した方式である。そのため、カーブでは遠心力による重心の移動にあわせて自動的に車体が傾く自然振り子式となり、速度制限が厳しくないという利点もある。積雪にも強い。

 日本国内に現存する懸垂式モノレールは、東京都交通局と日本車輌製造による上野式(上野動物園)・三菱重工業がフランスから導入したサフェージュ式(湘南モノレール、千葉都市モノレール)・神戸製鋼所と三菱重工業によるスカイレール、の3方式がある。

 太平洋戦争後の東京都内の交通渋滞を緩和するため路面電車や路線バスに代わる近距離交通手段として、東京都交通局は日本車輌と共同で独自に研究を開始し、上野動物園内に園内輸送施設の東京都交通局上野懸垂線として設置された。1957年12月17日開業以降、幾度かの施設更新を経て2018年現在も現役である。

跨座式(こざしき)

 跨座式(こざしき)とは、車両の下にレールがありレールに車両が乗っている形態のモノレールである。跨座式はその多くが、軌道桁の上にある走行路を走行輪が接して車両重量を支えて車両を走行させ、軌道桁の左右に接する案内輪と安定輪で車両を案内するという方法を取る。この方法では、車輌の床下と軌道桁上部の間に車輪があり、さらにその下に案内車輪が存在するため、車輌の高さが通常の鉄道車両よりはるかに大きくなるという欠点がある。

アルヴェーグ式

 アルヴェーグ式は、1950年にジョン・A・ヘスティングが、ロサンゼルスに導入する予定の新しい交通機関の調査を始めたところから始まる。特徴は、空気タイヤをはめた車輪で走行することにある。そのため、車体の重量をゴムタイヤで支えねばならず、タイヤが大きくなり、車内にタイヤ部分の出っ張りの部分が出来てしまうという欠点がある。

東芝式

 アルヴェーグ式を参考にして東京芝浦電気(現:東芝)が開発したので、連接台車や自動ステアリングを採用したことが特徴である。

 この方式はかつて、松尾國三の肝いりで奈良ドリームランドモノレールとして採用後、横浜ドリームランドへのアクセスとしてドリーム交通モノレール大船線で採用された。後者は経路に急勾配が多く、連結器や台車などの駆動系部品を中心に設計変更が生じ、設計時は30トンの車両重量が完成時に46トンと大幅に重量が超過し、車両故障が頻発して橋脚のコンクリートは亀裂が生じ、陸運局からの運行休止勧告を受けて1967年9月に休止となった。

望まれる船堀街道の渋滞の解消

 葛西から小岩へ縦に延びる船堀街道は、幹線道路ゆえに一日中渋滞が続き区民と物の移動に多くの時間的ロスを招いている。江戸川区の東西の横の線は「総武線」「新宿線」「東西線」の3本の公共交通機関が通り、千葉県と東京都とを強く結び付けている。ただ江戸川区は両地点の通過点としての役割しか果たさす、個々の文化や伝統産業を有していながら江戸川区は社会的には沈没している。江戸川区には他に誇り得る歴史と伝統があり、江戸川区としての固有の文化をしっかりと確立していかなければならない。

 江戸川区の東西の様々な交流がありながら南北の縦の交流は、東西に比較して少なく独自の歴史と伝統が主に3層に分けて分裂している。これを江戸川区として歴史と伝統を打ち立てるのではあれば南北の人と物との交流が基礎になる。通過点としての江戸川区ではなく、江戸川区としての独自の歴史と伝統を樹立する基礎が必要なのである。それは交通によって生まれ、交通によって育まれる。他との交流のないところで自我の目覚めがないからだ。それは年中渋滞している船堀街道に新たな人と物との交流を図ることであり、江戸川区を南北に縦断する新たな公共交通機関を設置することだ。しかも船堀街道の渋滞を解消することにも目的がある。

 それは既に述べてきたモノレールを船堀街道の上に走らせることであり、総武線、新宿線、東西線を縦貫して南北の交流を盛んにすることだ。これであれば用地取得する必要もなく、大きな駅舎も設ける必要もない。船堀街道の利用についての東京都との話し合いだけて済み、東京都の反対の根拠は何もない。しかも懸垂式のモノレールであれば高架も低くて済み、動力は電気であるから江戸川区住民をはじめ地球環境に優しい。このモノレール設置計画は単に交通の利便を図ることだけではなく、南北の交流を盛んにして江戸川区住民の交流を基礎として一体性を保持することになる。このようにモノレールは江戸川区としての文化の金字塔を打ち立てることになるであろう。

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2018年07月25日

災害対策

西日本豪雨災害で出された電化製品のゴミ
リサイクル法によりメーカー自身の手で直ちに撤去せよ!

 2018年6月29日に発生した台風7号は太平洋高気圧の外側を回り込むように7月4日にかけて東シナ海を北上し、対馬海峡付近で進路を北東に変えて日本海上に抜けた。東シナ海からの湿った南東風と、太平洋高気圧の縁を回る湿った南風が西日本付近で合流し、極めて大量の水蒸気がもたらされた。梅雨前線は9日に北上して活動を弱めるまで日本上空に停滞し、西日本から東日本にかけて広い範囲で記録的な大雨となった。

 7月6日17時10分に長崎、福岡、佐賀の3県に大雨特別警報が発表され、続いて19時40分に広島、岡山、鳥取、22時50分に京都、兵庫と、1日で8府県に大雨特別警報が発表された。さらに翌7日12時50分には岐阜県、翌8日5時50分には高知、愛媛の2県にも大雨特別警報が発表され、最終的に運用を開始して以来最多となる計11府県で大雨特別警報が発表された。

 この豪雨により、西日本を中心に多くの地域で河川の氾濫や浸水害、土砂災害が発生し、死者数が200人を超える甚大な災害となった。また、全国で上水道や通信といったライフラインに被害が及んだほか、交通障害が広域的に発生している。平成に入ってからの豪雨災害としては初めて死者数が100人を超え、また、昭和に遡っても1982年に300人近い死者・行方不明者を出した長崎大水害(昭和57年7月豪雨)以降、最悪の被害となった。

 一連の豪雨の名称について、2018年7月9日気象庁が「平成30年7月豪雨」と命名した。気象庁が豪雨で名称をつけるのは、2017年の「平成29年7月九州北部豪雨」以来である。

 気象庁により暫定公表された観測データによれば、6月28日0時から7月8日9時までの総降水量はところにより四国地方で1,800ミリ、中部地方で1,200ミリ、九州地方で900ミリ、近畿地方で600ミリ、中国地方で500ミリを超えた。気象庁は「今回の豪雨が過去の豪雨災害と比べて、極めて大きなものであった」とコメントしている。

 この豪雨により西日本を中心に、河川の氾濫や洪水、土砂災害などの被害が発生した。それと同時に大量のゴミも生み出し、小学校や中学校等の校庭はうず高く積まれたゴミ山と化した。ことに電気冷蔵庫やテレビ等の電化製品の一大墓場の様相を呈している。

 しかし自宅から出た電化製品のゴミについては、廃棄物収集運搬の対象ではなくこれを引き取らない。これは次にみる「家電リサイクル法」で定めるリサイクル品であって廃棄物ではないからである。この家電リサイクル法17条では、「製造業者等は、自らが製造等をした特定家庭用機器に係る特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、特定家庭用機器廃棄物を引き取る場所としてあらかじめ当該製造業者等が指定した場所(以下「指定引取場所」という。)において、その引取りを求めた者から当該特定家庭用機器廃棄物を引き取らなければならない。」と定めて電化製品の最終の責任を負わなければならないとしている。そして、その引取料金については、大災害の被害を被った国民には何らの責任を有しないのであって、「大規模災害からの復興に関する法律」第3条「大規模な災害からの復興は、国と地方公共団体とが適切な役割分担の下に地域住民の意向を尊重しつつ協同して、当該災害を受けた地域における生活の再建及び経済の復興を図る」とする基本理念に基づいて国と地方自治体が対応すべきである。

 今回発生した電化製品のゴミ山をリサイクル製品の山と考えてメーカーが、「家電リサイクル法」に基づいて収集して運搬する責任があり、断固としてこの処理をメーカーに求める。

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2018年07月20日

平等思想

東京地裁の障害者差別に怒り
正義に力を!

この不合理に起つ

 2018年6月28日午後2時頃、東京地方裁判所3階の執行官室を訪ねて債権差押執行を申立しようとした際、障害者2級の私は、裁判所職員に対して、立った状態で申立書を書けないとイスと机の提供を求めた。これを聞いた職員はイスを持ち出し、私にこのイスを机にして書けと告げた。

 人が座ったイスは便座のようなものであって、これを机代わりにしろと言うのはトイレで書けと言うことである。これは私を人間として見るのではなく、奴隷として人間としての尊厳を否定して障害者を人とは思わない差別を行ったのである。

 平成25年法律第65号の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下、「障害者差別禁止法」という。)は、「全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」と宣言している。障害者に椅子の上で書けとは、障害者を人間とは見ず人間としての尊厳を否定するものである。

 しかも事件があったのは民間企業ではなく法秩序の維持を担う法の番人たる裁判所(東京地裁)だったのであり、障害者差別禁止法を誰よりも率先して守らなければならない裁判所で行われたことに強い衝撃を受けた

 そもそも東京地裁は障害者2級の私が立った状態では書けないと言っているのであるから、目の前にあって使用していない机とイスを使用させば何も問題なかった。この机とイスは私が同室に居た約1時間半、誰も来る客も人っ子1人居らずに席を譲る必要は全くなかった。

 このことについて障害者差別禁止法7条2項では、「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」と定めている。私が机とイスの使用を求め、その机とイスが小職の居た1時間半にわたって全く使用されなかったように、その「負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう」その使用を認めるべきであった。東京地裁執行官室の対応には、このように「社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」ところこれがなされなかった。人の座ったイスを机にすると言うことは、トイレの蓋の上で食事を命ずるようなもので障害者を人間とは見ずに人間としての尊厳を否定することだ。

 法の番人たる東京地裁は誰よりも率先して障害者差別禁止法を守り執行しなければならない立場であり、それが真逆にも障害者の人間としての尊厳を否定すると言う恐るべき差別者としての毒牙をむき出した。しかし無力の私には差別糾弾の声を上げても無駄だった。この時ほど「力」が欲しかったことはなかった。私に力があれば全国の裁判所職員に対して障害者を差別してはならないと一大号令を発するものを。力なき正義は無であり、正義に力を与えねばならない。

 執行官室の障害者差別を告発し、その是正を求めるものです。しかし差別した二人が東京地裁に居る限り第二、第三の障害者差別が惹起することは避けられず、この二人を東京地裁より放逐することを強く求めるのです。

 以上、東京地裁での障害者差別を告発します。

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